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隠岐の風 その10

2008/07/30 [22:39]

隠岐郡西ノ島町珍崎。


人口120人あまりの、ひなびた集落。
港でジュースを飲んでいた姉妹らしき二人をようやく発見して、
聞くと、ここより先に集落はもう無いという。
よし、到着だ。さあ折り返すか。でもその前に僕もジュースで一服…。
と、誰もいない岸壁に座って自販機のアクエリアスを飲んでいると、
「こんにちは!!」
どこから現れたのか少年がひとり近寄ってきて、明るく挨拶した。
往来でぱっと会った人が、しかも子供が、
自分からこうして挨拶してきてくれることはけっこう珍しいので、
さすがは珍崎。などと感心しながら話していると、
その少年、小6のりゅうすけは、
夏休みに入って間もないこの真っ昼間を、やや退屈に過ごしているみたいだ。
それで珍崎港にいた珍客に声をかけてみたのだろう。


キャッチボールしたりしながら汗だくになって遊んでいたら、海に入りたくなった。
で、午後からは泳いで遊んぶ。
あー夏休み。
自分の体が彼よりずっとでかいのが、
ふと、むしろ不思議に思えるくらい、
思い切り子供時代に戻った気分で遊んだ。
長い旅、童心に帰って少年と海と戯れる、こんな日もありでしょう。
気付くと、さっきの姉妹の小さい方(姉妹じゃなくてご近所さんだったけど)、小4のほのかも一緒になって遊んでいた。
ともだちのともだちが、一瞬にしてじぶんのともだちになる、あの感じ。
感動的なほど懐かしかった。。。


「おっちゃん、明日も来てよ!」
珍崎には小中学生あわせて5人しか子供がいない。
りゅうすけとほのかと、コウヘイという小6と、りゅうすけの姉と弟。それだけなのだ。
隣の集落に行くには、学校に通うのと同様、バスに乗らなくてはいけない。
そんな過疎地のなかの過疎地に住む子供たちのことを、正直不憫に思った。
「分かった。明日も来るから!」
ただ、最後に僕がそう言ってしまったのは、
憐れんだその気持ちとはきっと関係がない。
退屈な夏休みに変化を付けてあげたい、という「施し」ではなく、
まだまだ遊び足りない!
まだまだ泳ぎ足りない!
と子供の僕が思ったからに過ぎない。
そう、
この日珍崎には6人子供がいたのだ!


思いがけず子供になってしまった僕の夏休みは、
…明日もつづく




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