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いつだって本はある

2008/06/26 [00:24]

この休養中に読んだ本のなかに吉田修一著「日曜日たち」があった。


五つの短篇が緩くつながった連作である。
人生を背負っている。
という言い方が良いのかどうか自信がないが、
五人の主人公は、
例えば、過去に失った恋人の面影を抱いたまま長く無職でいたり、
それぞれが、如何ともしがたい過去とおぼろ気な現在のなかで、ゆらゆらと日々を過ごしている。
彼らの、遠い目をしているのが目に浮かぶ。
決して魅力的ではないはずの人物に引き付けられるのは何故だろう。
リアルで変な人々と、明晰な文章に僕は、
あっという間に「持っていかれて」しまった。


「これまでの人生で、最後までやり遂げたって自慢できることある?」
勤めるクラブのママにこう聞かれた男は、勿論あるはずだと思うのだか、すぐに答えが浮かばない。
…僕はどうだろう?
知らない間に始まってそして終わっていたことは、自慢していいんだろうか。
おそらく人生の立ち位置に関わらず、何かをやり遂げてばかりの人と、
そう聞かれても答えに窮する人の二通りがありそうな気がする。
やり遂げられない人が、反面、そのおかげで遠くまでいけることもあろう。
この旅が終わったとき、僕はどうなっているだろう。


書こうとしていたことが何だったか分からなくなってきた。
世界はそう分からないことだらけ。
言葉で伝えうるのは気分だけだ。
ただ、「休養中に読んだ本は全部で何冊ですか?」と誰かが聞いてくれたら、
僕ははっきりと
「一冊です」
いい声で答えます。



comment (2)


一冊です…!

杉村たいぞう議員風
にね。

しゃぶ : 2008/06/28 [00:32]

休養中に読んだ本は何冊ですか?

沙織チャン : 2008/06/26 [09:39]

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